咄嗟の閃きは、危険を伴う
咄嗟の閃きは、光があたる場所に
スポットライトをあて、
影があったことを忘れさせる。
ジムの着替えと靴をいれたカバンは
パンパンに膨らんでいた。
満員電車の中では邪魔になると、
カバンから一冊の本をとり出して
網棚に置いた。
電車は止まる度に、
今日のカバンのようにパンパンになった。
降りる駅のひとつ手前の駅で、
自分が立っている側の扉が開き
電車からほきだされた。
人に押されながらホームにでると、
目の前には、すっからかんの電車が
涼しげな顔して止まっていた。
乗っていた電車が地獄だとしたら、
目の前にある電車は、まさに天国。
その瞬間に、
ゴートゥーヘブン‼︎
という閃きが生まれた。
頭の中からは、
網棚に置いたカバンが
すっぽり抜け落ちていたのだった。
また明日。バイビー